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神戸地方裁判所姫路支部 昭和24年(ヨ)22号 決定 1949年5月21日

姫路市網干区浜田千番地

申請人

東京芝浦電気株式会社網干工場労働組合

右代表者

神奈川県川崎市堀川町七十二番地

被申請人

東京芝浦電気株式会社

当裁判所は職権を以て左の通り決定する。

主文

本件を横浜地方裁判所に移送する。

理由

申請人の本件仮処分の申請は要するに、申請人は被申請人の経営する姫路市網干区浜田千番地所在の工場の従業員により組織せられた労働組合であつて被申請人所在地にある東芝労働組合連合会の加盟組合であるが右東芝労働組合連合会と被申請人との間に昭和二十三年三月一日締結された労働協約の効力が今尚存続していることを前提として被申請人の同意なくして申請人組合の組合員を解雇し又は転任せしめてはならないこと及び右協約に基く経営協議会の議決を経ないで事業組織の加廃、事業設備の大変更、申請人組合の組合員に対する給料賃金その他給与、規定の変更改廃をしてはならないという趣旨の仮処分命令を求めると謂うにあるのである。

仍て按ずるに仮処分命令は原則としてその本案の管轄裁判所の専属管轄に属すべきものであるが、その本案訴訟は本件にあつては被申請人の主たる営業所々在地の地方裁判所の管轄に属するものと謂うべきであるところ、本件記録編綴の被申請人の登記簿抄本に依ればその本社は川崎市堀川町七十二番地に在ることは明かであり、他に会社の業務を統括経営する営業所殊に本件被申請人の網干工場が右にいう営業所に該当することについては別段疎明がなく、又前記の如く本件労働協約は前記連合会で被申請人との間に締結されたもので申請人は、唯その加盟組合として協約の適用を受けるに過ぎず而もその協約自体の効力の存続について争いがあることをも考え合せるときは前記本社を以て会社の業務を統括経営する場所と認め本案訴訟も右本社を管轄する裁判所に管轄権を認めるのが相当である。

果してそうだとすれば本件の本案の管轄裁判所は横浜地方裁判所であり、従つて本件は民事訴訟法第七百五十七条第一項、第五百六十三条により同裁判所の専属であつて当裁判所の管轄に属しないものとは謂わねばならない。

仍て同法第三十条第一項に則り主文の通り決定する。

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